2016年7月15日号(通巻第7号)掲載

 生徒会が本紙に対して要望書を提出することを検討していることが判明した。生徒会幹部や生徒会顧問の遠藤彩子教諭ら複数の関係者が明かした。

 本紙が生徒会顧問の遠藤教諭(体育)に直撃取材したところ、遠藤教諭は本紙に対する要望書について生徒会内部で協議を行っていることを認めた。遠藤教諭は生徒会が本紙に対し、報道規制を行うことはないものの、本紙の取材手法及び記事について生徒会役員が不快感を抱いている為、生徒会内部でこのような措置が検討されていると明かした。
 これを受け、平松けんじ新聞部長と黒柳修一顧問の間で協議した結果、今後の紙面編成について慎重さを持って行うことで合意が形成された。

一方、本紙幹部や事情を知っている生徒からは、この措置について「言論弾圧ではないか」「報道の自由を守るべきだ」という反発の声も上がっている。

※この記事は検閲により実際の紙面に掲載することができなかった記事です。

◇解説コーナー◇
 平松けんじ編集長率いる第1次YAMABUKI JOURNAL(紙面)の第7号で検閲された記事「生徒会、本紙に要望書提出検討か」です。この記事で思い出されるのが、自民党本部にテレビ局の幹部が召喚され、要望書を受け取らされた事例。権力機構に呼び出され、「要望書」と題した書面にて報道内容に干渉されるというのは言論機関への萎縮効果をもたらし、言論統制に繋がる恐れがあるとして批判を集めた問題だ。

 全く同じ問題が社会の最末端部である学校教育の場で起こったのは偶然ではなかろう。言論・表現の自由に関して権力を持つ者が「要望書」と題したものを突きつけ、報道内容を変えさせる。政府与党がメディアにやったことがより露骨な形で再現されたのがこの記事で報じた内容。

 挙句の果てには生徒会役員会の顧問・遠藤彩子教諭(現主任教諭)が了承したにもかかわらず、当時生徒会役員会の主任顧問とされていたS主任教諭(現都立府中東高校)が休暇中にもかかわらず、わざわざ出勤して新聞部の顧問2人と密室で話して最終的に本記事が検閲される運びとなった。

 まるで政府与党が行った言論統制の結果訪れる未来を暗示しているようでならない。自由な言論・表現が許されず、抵抗すれば暴力的な弾圧を受ける社会、その足音はかなり近づいている。
(解説=本紙編集長・磯田航太郎)