12日、新宿山吹高校では来年度の履修計画を考える上で重要な事項を説明する履修説明会が今年も大講義室で開催された。今年も例年通り10:40開始、13:10開始、17:25開始の3部体制で行われ、各部の校民が集まった。

 しかし今年の履修説明会は例年と比較して大きく変化したところがある。それは学校当局が遅刻者の入室を認めない旨を告示したことだ。
 新宿山吹高校では例年多くの授業や説明会で遅刻者や欠席者が相当数出るが、これらの遅刻や欠席は校民の自己管理・自己責任を重んじる校風の下認められてきた。一見、わがままを認めているようにも見えるが、新宿山吹高校ではこれらの校民の自由意思を尊重する指導姿勢をとることで、校民が自ら考え主体的に行動する能力を養ってきたのだ。しかし今年の履修説明会では、遅刻者の入室を一切認めない旨の告知文を出すなど、学校当局は急激な締め付けを行った。

遅刻した校民の入室拒否に反発の声
 第1回と第2回の履修説明会では実際に複数の遅刻者が入室を拒絶され、校民から反発の声が上がった。ある校民は「山吹生に遅刻するなというのは馬鹿じゃないか。」と話すなど、学校当局の突然の遅刻者に対する制裁措置に反発した。

最終回では遅刻者に入室認めるも小言
 一方、履修説明会の最後の部となる17:25開始の説明会では複数の遅刻者が出たものの、門番を担当した二川友樹教諭(世界史)が17:40を過ぎても遅刻者の入室を事実上容認する柔軟な措置を取った。ただ同教諭は「本来は許されない」旨を繰り返し述べており、学校当局が組織的に遅刻者への厳しい制裁を行なっていることが明らかになった。

背景に全日化推進の学校経営計画か 磯田自治委議長語る
 今回の履修説明会への遅刻者入室拒否の背景には何があるのだろうか。新宿山吹高校自治委員会の磯田航太郎議長兼会長に聞いた。

―今回、履修説明会への遅刻を許さないという断固たる措置を学校当局は取ったわけだが、どのような背景があるとお考えか?

磯田「これは平成30年、つまり今年の学校経営計画で明示された学校運営の基本的な方針をそのまま実行に移したということだろう。同学校経営計画では、大学進学重視の名のもと進学者数の数値目標を定めたり、行事の参加や部活動への加入を奨励、授業への遅刻をへらす指導を行う、遅刻の扱いを再検討、全時限校内巡回して校民に声をかけ授業への出席を促す等の校民の自己管理文化を破壊する方針が強く打ち出されている。」

―本来、山吹では校民の進学や進路は校民自身が自分で計画して決め、学校当局が数値目標を設定して特定の進路に煽り立てたりする学校ではなかったはずでは?

磯田「仰るとおりだ。これは山吹がこれまでの自己管理・自由な校風をかなぐり捨て独特な履修制度を背景に、進学重視の自称進学校に生まれ変わろうとしている危険な兆候だ。一見すると、大学進学重視というのは総合的な学力底上げという点で良いように見えるが、他方校民ひとりひとりのニーズとは乖離した形で学校が組織的に特定の進路に誘導してしまい、校民ひとりひとりの再チャレンジや夢を壊し、自由な学習活動が制限される危険性がある。また、進学重視を背景に学力が高いもののみを受け入れ、これまで救済してきた不登校生や高校中退生を切り捨て、再チャレンジの場を奪ってしまう。」

―また、遅刻をへらす指導の推進や授業への出席を促す、行事への参加や部活動への加入の奨励というのはもはや自己管理とは言えないのでは?

磯田「まさにその通りだ。出席・遅刻・欠席は校民自身の自己管理・自主判断に委ねるのが伝統的な山吹の校風だ。そして行事の参加を強制されないというのが山吹の特筆すべき良いところではなかったのか。こういった点まで捨ててしまうというのは創立以来守られてきた新宿山吹高校を全く違う高校に変えてしまうという行為であり、山吹の持ち味を完全に殺してしまう行為だ。」

―自治委員会としては、今回のような学校当局の変節にはどのような姿勢で臨むか?

磯田「自治委員会は山吹のこれまで守られてきた良いところを殺すような学校経営方針には断固として立ち向かい。これを阻止する。徹底した自己管理と本当の自由の校風を守り、新宿山吹高校を守る。」

(本紙編集局)