日本自治委員会議長・平松けんじ氏は4日夜、新宿山吹高校で起こっている紛争について都教委が四者会談を拒否したことを受け、談話を発表した。

 日本自治委員会は、新宿山吹高校で学校当局と自治委員会による紛争が続いている現状に懸念を示し、同校における和平を実現するため、都教委に対して四者会談を行うことを打診していた。

※四者会談…磯田航太郎自治長、平松けんじ議長、梶山隆統括校長、都教委関係者の四者が集まり、紛争の解決や新宿山吹高校自治委員会の要求事項について話し合うために会談。


 平松議長は談話において、都教委が談話を拒絶したことは紛争を終わらせる気がなく、新宿山吹高校の平和を願う心と努力を踏みにじる行為であるとして、日本自治委員会と加盟各自治委員会が怒っていることを表明した。また、新宿山吹高校当局が生徒に行った人権侵害を挙げ、これからも生徒の人権・自由を守るために闘い、自治委員会運動を推進していくことを明言した。

 談話の全文は以下の通り。

 全国の児童生徒の皆さん、こんばんは。日本自治委員会議長の平松けんじです。

 今日は、日本自治委員会から、新宿山吹高校紛争に関してご報告です。

 私たち日本自治委員会は、新宿山吹高校をめぐる新宿山吹高校自治委員会と学校側の紛争の解決のため、東京都教育委員会に対し、日本自治委員会、新宿山吹高校自治委員会、東京都教育委員会、新宿山吹高校の四者で話し合いをしませんか、とご提案をさせていただいておりました。

 しかし、東京都教育委員会は、私たちの提案を拒否しました。これは新宿山吹高校での紛争を解決する気が東京都教育委員会にないということです。

 新宿山吹高校では2017年6月に校内新聞が校内で起きた出来事を記事にしたところ、編集長の生徒が生活指導室に連れて行かれ、校長室で2日間にわたり指導を受け、記事を削除させられました。これは日本国憲法第21条で守られている「言論・表現の自由」を破る行為です。

 それ以来、新宿山吹高校では生徒の「言論・表現の自由」を取り戻そうとする自治委員会と学校側の間で不毛な闘いが続いています。闘いは既に2年も続いています。

 私たち日本自治委員会は、この長い長い闘いを終わらせるため、東京都教育委員会に対し、四者で話し合いをしませんか、とご提案したのです。

 しかし、東京都教育委員会はこれを拒絶しました。すなわち東京都教育委員会には学校側と新宿山吹高校自治委員会の間の闘いを終わらせる気はないということです。私たちの平和を願う心とそのための努力を三たび踏みにじる東京都教育委員会の対応に私たち日本自治委員会と加盟各自治委員会は、とても怒っています。

 東京都教育委員会の久保田の言ったことは、私たち児童生徒の意見を軽視したものでした。私たちが求めていた四者での話し合いをやるかどうかの話を聞く電話なのに、久保田はそんな話を全然せず、20分以上、「校長は生徒の要望を聞く場を設けている」、「生徒会が機能していないなら、生徒会が機能するよう学校に指導する」など、関係のない話を繰り返しました。私たちが久保田から答えを聞くことができたのは最後の最後でした。

 そもそも校長が生徒の要望を聞く場を設けているのならば、自治委員会が成立する前に校内新聞の記事を無理やり消させようとはしませんよね。でも真実は違います。学校側は話も聞かずに一方的に記事の削除を強要してきました。これが真実です。

 学校側が校内新聞に記事を削除させるために編集長の生徒に対してやったことはとてもひどい人権侵害の繰り返しでした。

 私たちは知っています。生活指導室に無理やり連れて行き、「法律なんかどうでもいい」「覚悟はできてるんだろうな」と校内新聞の記事を削除させようとしたこと。

 私たちは知っています。学校のエントランスで帰ろうとした生徒の腕やリュックを掴み、長時間下校させなかったこと。

 私たちは知っています。自分たちに従わないことを理由に生徒を授業に参加させなかったこと。

 こんなことをやっておきながら、「校長は生徒の要望を聞く場を設けている」と言える無神経さ。強い非難に値します。

 そして何より生徒会が機能していないなら生徒会が機能するように学校を指導するという久保田の発言。これは生徒会がいかに欠陥制度かを自ら暴露している発言です。

 そもそも生徒会というものは生徒の権利を守り、生徒がより良く学校生活を過ごせるように学校に生徒の要望を伝え、実現するのが仕事です。ですから生徒会の活動は学校があれこれ命令してはいけないのです。生徒たちが自分たちの権利を守るために集まって、団結して、時には学校と闘う。これが生徒自治―生徒会の本来の役割です。

 しかし久保田は学校が生徒会にあれこれ指図することができることを認めているのです。生徒会が機能しないからと、生徒会に機能しろと命令できる、その時点で生徒自治機関としては死んでいる、終わっているのです。そんな生徒会では生徒の権利を守れない、だから私たち自治委員会があるのです。私たち自治委員会は学校から完全に独立し、命令を受ける立場にはありません。生徒の代表として、学校と対等な立場で話し合う―これが私たち自治委員会の強みです。

 私たちは守らなければなりません。生徒の自由、人権、そして自治を。生徒の人権を踏みにじるブラック校則、低い気温・水温でのプールの授業、憲法や法令を無視した生活指導、これらを撲滅するために全力で闘います。私たちは止まりません。絶対に。どんなことがあっても。

 私たち日本自治委員会と加盟各自治委員会は、生徒の権利と自治を守るため、今後も自治委員会活動を強力に推進します。これにより現場の自治委員会と学校側の対立は激化するでしょうが、やむを得ないでしょう。私たち日本自治委員会は、現場で闘う自治委員会を強力にサポートし、連帯していくことをここに表明します。日本自治委員会は、加盟している自治委員会に対して学校側が攻撃することを許しません。絶対に。どんなことがあっても。

2019(令和元)年10月4日
日本自治委員会議長 平松けんじ

(本紙編集局)