首脳会談
(画像=トップ会談の様子)

 8日昼過ぎ、新宿山吹高校自治委員会・磯田航太郎自治長と都立新宿山吹高校・永浜裕之校長が校長室で会談し、自治委員会の緊急要求に関して団体交渉を行った。団体交渉は永浜校長就任後初で、2018年5月の梶山校長(当時)との団体交渉以来、約2年ぶり。


 団体交渉では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、山吹生の学習機会や日常生活に様々な影響が出ている中、自治委員会が学校当局に対し、様々な支援を求めた。

校長、11件中7件の要求に前向き姿勢

 永浜校長は、自治委員会が要求した11件の項目に対し、7件について前向きな姿勢を示した。

 特にオンライン環境の整備には軒並み前向きな姿勢だった。磯田自治長が、双方向型のオンライン授業実施について要求すると、永浜校長は「オンライン学習プロジェクトチーム」を組織して、Zoomによる双方向型授業を実現する方針を示した。なお、インターネット環境がなくオンライン授業を受けられない山吹生に対しては、サポートを行う方向性を示している。

 また、磯田自治長が、山吹生から不安の声が上がっていた「Classi」について「Office 365 Education」へ切り替えることを要求すると、永浜校長は「Office 365 Education」と「まなBOX」への切り替えを行っていく方針を示した。「Office 365 Education」には、自治委員会が要求を行っていた、教員と山吹生がオンラインでやり取りできる機能も実装されているという。


 オンライン環境の整備以外でも永浜校長は積極性を見せた。磯田自治長が、外出自粛の中行き場を失っている可能性がある、家庭環境に困っている山吹生に対し、適切な支援を行うことを要求した際、永浜校長は「これは当たり前」と強調したうえで、「できる限り支援を行っていく」と伝えた。

「今年度卒の修学旅行参加」「山吹祭実行」等は難しい

 一方で、永浜校長が難色を示した要求もある。その大半は、都教委の方針や通達を理由とするものだった。

 磯田自治長は今年度の修学旅行が中止になったことを踏まえ、来年度の修学旅行に今年度卒業する生徒を参加させるよう要求したものの、永浜校長は、卒業生の修学旅行参加は制度上認められないことや、都から補助金が出ないことを理由にこれを拒否した。


 また、磯田自治長が今年度の山吹祭を開催してほしいという要求を伝えた際には、都教委が12月まで「密」になる行事(文化祭、体育祭等)の開催を禁止する旨の通知が出ていることを理由にこれを拒否した。磯田自治長は翌年1~3月に開催することを提案したものの、永浜校長は「申し訳ないが文化祭よりも授業確保」と難色を示した。一方で、永浜校長は、ウェブ上で何らかの発表機会の場を確保するという方針も示した。

 これらの要求の拒否を受け、自治委員会は、全国組織の日本自治委員会を通して、都教委と交渉を行っていく方針だ。

校長、生徒会の自治委統合を拒否…自治長「遺憾」

 また、磯田自治長はこのトップ会談で、新型コロナウイルスによる緊急事態下にある現状を鑑み、山吹生の意見表明の場を一元化することを理由に、生徒会を自治委員会へ統合することを強く提案したが、永浜校長は「相手(=生徒会)があることだから」「分かりましたとは言えない」とこれを拒否した。


 磯田自治長はこれに対し、「私は生徒会を敵視していたわけではない。こんな時期だからこそ、生徒会と自治委員会を合併するという形で一つにして、お互いが持っている環境やインフラを使って山吹生の意見を円滑に学校運営に反映できるようにすることを目指していた」「永浜校長は私たちの提案を概ね受け入れてくれたのは有難かったが、この件を拒否したことで山吹生の意見を集約する場をまとめることができなかったのは遺憾である」と語っている。自治委員会は今後粘り強く、生徒会の併合を求めていく方針だ。

(本紙編集局)