(動画=アンケートの結果と要求事項を伝える磯田航太郎自治長)
新宿山吹高校自治委員会は自治委員会議第3回臨時会で、新型コロナウイルス感染症の拡大や休校措置を受けた緊急アンケートの結果をもとに、学校当局に様々な要求を行う方針を決めた。
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自治委員会は4月末から5月上旬にかけて、山吹生を対象にアンケートを取り、新型コロナウイルス感染症や休校措置が山吹生の学習状況や日常生活に与えている影響について調査を行ったようだ。
このアンケートの結果では、オンライン授業の導入(賛成57件-反対26件)や教員とメールやチャットでやり取りできるツールの導入(賛成58件-反対27件)などには賛成が多かったものの、一方で登校日の設定(賛成15件-反対66件)、入学式の仕切り直し(賛成20件-反対57件)などについては反対が多数を占めたという。
また、外出自粛により外で遊べないことや、家族と一緒に過ごさなければならないことに対して負担に感じている旨の意見やコメントが多かった一方で、「仮に学校で過ごせるとしたら学校で過ごすか」という設問に対しては、「過ごす」が20件、「過ごさない」が50件と消極的な意見が多かったとされている。
その他、コメントでは、「修学旅行と山吹祭は3月くらいにずらしてほしい。今年卒業なので中止にはしないでほしい。」「山吹には家庭環境に困っている子もたくさんいるので、みんなが家で過ごさなきゃいけない今こそ、学校が何か支援すべきだと思います。」といったものも寄せられているそうだ。
自治委員会はこれらの調査結果を受け、11ヶ条の緊急要求を近日中に行う方針を固めている。
この中には、Zoom等による双方向でのオンライン授業の実施や、学習支援サービスの「Classi」から「Microsoft 365 Education」への切り替えといった学習支援に関するもののほか、教員と山吹生がインターネット等でやり取りし、心のケアと学習状況の把握ができるようにする環境を整備すること、来年度の修学旅行に今年度卒業予定の山吹生の参加を認めること、外出自粛により行き場を失っている劣悪な家庭環境に置かれている山吹生に対し、適切な支援を行うことといった、学校行事や日常生活に関するものも含まれる。
その他、自治委員会は自治委員会議第3回臨時会で、日本自治委員会を通して、都教委、都、国に対し、収入が減った高校生への給付金支給、給食がなく食生活に困っている未成年者の救済、家庭環境に困っている未成年者への居場所や勉強場所の確保を求めていく方針を決めている。
「できるところはやっていく」…その言葉の真偽が試される時
この緊急要求は、山吹生の意見をもとにした、山吹生の学習権や平穏な日常生活を保障するためのものだ。学校当局は校民たる山吹生を守り、学ぶ場を保障する義務がある立場だ。できる限りの要求を受け入れなければならないだろう。
4月、永浜裕之校長が磯田自治長に対して「できるところはやっていく」と宣言した。今こそ、その言葉が本物なのかまやかしなのか試される時である。
自治委員会による緊急要求の内容
自治委員会が方針として固めている、学校当局に緊急要求を行う事項は以下の通り。
1. Zoom等による双方向型のオンライン授業を実施すること。2. 教員と校民がインターネット上等においてこまめにやり取りできる環境を作り、心理的なケアと学習状況の把握に努めること。3. 課題については現行の通信制のレポート提出方法に準じた形で郵送等により提出をさせ、課題を提出した校民に対しては次の学習部分に相当する新たな課題を出し、校民の学習権の保障に努めること。ただし本校のこれまでの校風等を鑑み、課題等を強制しないよう留意すること。4. 定時制課程に関しては、新型コロナウイルス感染症が完全に収束するまで、校民が任意で登校することができるようにすること。また、登校しない校民に対しては、オンライン授業により学習権を保障すること。なお、任意の登校を実施する期間中の出席日数の取り扱いについては、オンライン授業への参加ないしは課題等の提出状況等を踏まえた上で、原則として出席扱いとすること。5. 来年度実施予定の修学旅行の実施に際しては、今年度に卒業する校民の参加を認めること。6. 今年度の山吹祭については、新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえて、可能な限り開催すること。今年度に山吹祭を開催することができなかった場合は、前項に準じ、来年度の山吹祭において今年度に卒業する校民の出展・参加等を認めること。7. 外出自粛により多くの校民が自宅で過ごしている中、家庭環境に困っている校民が行き場を失っている可能性がある。劣悪な家庭環境に置かれている校民に対しては適切な支援を行うこと。8. 休校措置により失われた授業時数に応じ、授業料を減免すること。9. 新型コロナウイルスによる緊急事態下にある現状を鑑み、校民の意見表明プラットフォームを自治委員会に一元化し、学校運営への校民の参画をより強力に実現するため、定時制課程及び通信制課程の生徒会を自治委員会に統合すること。なお、自治委員会は、生徒会の統合後、学校当局との連絡役を担う教職員(但し保健体育科教職員は除く)の派遣を受け入れることについて検討することができる。10. 自治委員会と学校当局の間において、緊密な連絡を行うためのホットラインを整備すること。11. 現在我が校で用いられている学習支援クラウド「Classi」は、アクセス障害や情報漏洩などのトラブルが相次いでいる。校民の個人情報保護ならびに円滑に学習ができる環境を整える観点からも、現在都教育委員会が使用を推進している「Microsoft 365 Education」への切り替えを行うこと。
(本紙編集局)